2003年 銀座「ぎゃらりぃ朋」

   

   種


3連の一枚です。

 

子供の頃、母と長野の田舎に行ったときに10匹ばかりの蚕(かいこ)をもらって来た。

私は近所に有る桑の葉を摘んではせっせと彼らに与え世話をした。

もちろん蚕が小さいうちは新しく柔らかい葉っぱを

雨の日は一枚一枚ふきんで拭いて水気を取って一日何度も食べさせた

 

蚕はとても美しい虫だ。

幼虫の頃はひかり号のような形態と透き通るような肌が

蛾になってからはつぶらな瞳とおしゃれな触覚がとても美しい。

脱皮の時に脱いだ皮ですら子供が脱ぎ散らかした靴下の様で愛らしい。

 

私が一番好きな瞬間は彼らが繭(まゆ)をつくり始める時だ。

しばらくすると何となく繭の形が出来て半透明の個室になる

自作のおしゃれな和室の中で首を八の字に振りながら静かに糸を吐き続ける姿が見えている。

やがて見えなくなってしまうが彼らはそれからも数時間同じ作業をしている。

そして次に出会う時は全く予想もしない形に変身している、凄いことだ..。

 

 

命を優しく包み込み、静かにその時を待っている

そんな状態を表現したくて作った作品なのです